多くの場合、企業が保有する特許はビジネスの成功を左右する大きな鍵となります。

保有特許を最大限に活用するためには、特許明細書のわかりやすさ、簡潔さは、きわめて重要です。

近年、米国における特許侵害訴訟の件数は増加の一途を辿っています。
特許事件が法廷に持ち込まれた場合、その特許の内容を詳細に説明した明細書は、技術関係者のみならず、技術的なバックグラウンドを持たない判事や陪審員の目にも触れることになります。
従って、特許明細書は正確であるとともに、明瞭でわかりやすく書かれていることが必要となります。
特に、クレームの中のたった一語の解釈が、賠償額を数百万ドルの単位で左右する可能性があることを考えると、明瞭な記載がいかに重要であるかは明らかです。

また、高い翻訳料を支払って日本で準備した英文明細書が、海外での出願時に問題になることがよくあります。
現地の代理人の大幅な修正により正しい英語に書き直される ・・・このような経験はないでしょうか?いうまでもなく、これは時間的な浪費であるとともに、コスト面でも大きな損失です。
こうした問題は多くの場合、発明の技術とは関係なく、明細書が「不明確である」「意味不明である」「曖昧である」「英語的な表現で書かれていない」といった理由で拒絶されることによって生じます。
つまり、こうした「難解な」請求項の多くは、例えば米国特許法第112条(記載不備)による理由で拒絶される原因になる場合が多々あります。
また、明細書全体が理解し難い場合は、手続きの最初の段階で、第112条によって拒絶されます。
もし、審査前の段階で明細書が適切かつ明確に書かれていれば、審査官は、発明本来の技術内容を十分に理解して審査することができ、従来技術の調査を適切に行えるはずです。
また、海外へ発送する前の段階で明細書が適切な状態に整えられていれば、海外の代理人が明細書の修正に費やす時間はかなり短縮され、費用も削減されるはずです。